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現場で必ず使える!生きたジャズ用語解説

ジャズピアノがいつまでも弾けない本当の理由とは?

現場で必ず使える!生きたジャズ用語解説

知っているようで知らない、でも聞くのは少し恥ずかしい・・・ そんな演奏の現場で実際に使われる音楽・ジャズ用語を解説してみます。


始めに

演奏の際、実際に出てくる音楽用語、スラング等。雰囲気はわかるけどちょっと聞くのが恥ずかしい…。そんな言葉を集めて自分の思うことをだらだらと書いてみようと思います。

知っている言葉もあると思います、自分とは違うニュアンスだなぁと思うこともあるかもしれません。

まぁ、そんな言葉に対する私見だと思って読んでもらえるとうれしいです。


ルバート(Rubato)

「自由なテンポで演奏する」という意味の言葉です。

演奏上この言葉がよく出てくるのはボーカル(Vocal)が入ったときです。古いスタンダード曲にはVerse(ヴァース)というメロディ、歌詞がついた前奏部分が出てきます。

本編のメロディ部分をコーラスと呼び、ヴァースと対比させています。ボーカルが入ったピアノ・トリオなどではこのヴァース部分をボーカルとピアノの2人だけで演奏する事が多いです。

ボーカルはメロディを語りかけるように歌うことが多く(もちろんリズムがついたヴァースも多くありますが)歌に合わせてテンポを変化させて(ルバートで)弾きます。

テンポの揺れ幅は、ボーカルの歌い方で決定します。ある人はかなりイン・テンポに近い歌い方をしますし、シャンソンの歌手のように、かなり揺れ幅が広い人もいます。

さてテンポを変化させるこのようなテクニックは、もちろん歌の伴奏だけでなく、インストのバンドでもあります。フリー・テンポ、無伴奏でテーマを即興性が強い演奏をし、その後リズムが入る場合等です。しかしあまりその時にはルバートという言葉は使いません。

僕はアドリブっぽくなく、メロディ・ラインをしっかり演奏しながら、テンポを歌の内容を踏まえ変えていくことがルバートで演奏するということではないのかと思います。

ルバートは十分メロディや歌詞を理解して、
どこで言葉が切れるのかを考えて弾こう!


※ルバートに関連する言葉

イン・テンポ(in Tempo)

一定のテンポに合わせて(しっかり弾く)

使用例 :

(バン・マスがあるサイド・メンに向かって意地悪く)もっとイン・テンポで弾いて!
(つまりはリズムが「ずれてるよ」という意味)


ア・テンポ(a tempo)

元のテンポに戻る。テンポが一度変化したあと、元のテンポに戻ることを言う。

使用例 :

(歌手)この曲のサビ、ルバートでピアノと2人でやります!次のAメロではア・テンポに戻してバンドさん全員で演奏お願いします。


リット/リタルダンド(rit./ritardando)

テンポを次第に遅くさせる。曲の最後などによく使用する。

使用例 :

(ピアニストが歌手に尋ねる)ねぇ!ねぇ!この曲の最後、どこからリットするの?


アッチェル/アッチェレランド(accel./accelerando)

テンポを次第に速くさせる。曲の最後のセクションを繰り返して終わらせるときなどによく使われる。

使用例:

(バン・マスがみんなに)この曲、最後Cセクションの繰り返し、アッチェルして曲を盛り上げようぜ!


イン・トゥー(in 2)

「拍子の取り方を2拍子で取る」という意味です。

これは別に3拍子を2拍子で取るという意味ではなく、4拍子で書かれているものを2拍子で取るという意味でよく使われます。また2拍子で書かれてあるものを念押しで言う場合もあります。

ジャズ等では2拍子で拍子をとるものにサンバやラテン系の曲があります。2拍目を拍子の基準として、拍子をとるリズムです。ただ譜面上では4分の4拍子で書かれてある場合も多くあり、この場合イン・トゥーで拍子をとりながら演奏します。

4分の4拍子で書かれてあっても、1、2、3、4、と拍子をとるのではなく1、ト、2、ト、ととるとよりサンバらしいノリになります。

4分の4拍子で拍子をとる
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「イン・トゥー」で拍子をとる
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イン・トゥー(in 2)は、リズムのノリ方の言葉


ついでに、一つ。

3拍子を2拍子で取るという意味は、単純拍子を複合拍子に変えるという意味になります。
例をあげると4分の3拍子を8分の6拍子に変換するという作業です。

3拍子を2等分にするということは、4分の3拍子であるのなら、付点4分音符2個で等分割されます。

8分の6拍子とは付点4分音符を1拍の基準とした2拍子なので、この場合3拍子から2拍子にノリが変ります。
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※参考
8分の6拍子(付点4分音符の2拍子)
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このようなテクニックを使った曲は多くありますが、少しモダンな曲の例をあげてみましょう。
チック・コリアの初期の作品「LITHA」等はその考え方を発展させてスリリングな曲に仕上げています。

Aセクションの冒頭部分(8分の6拍子)
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拍子の拍の単位を付点4分音符から2分音符に変えたBセクション
これはかなり速いテンポに変るということでもあります。
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この曲はChick Coreaの「Tones For Joan’s Bones」というCDの中にあります。


※イン・トゥーに関連する言葉

イン・フォー(in 4)

イン・トゥー同様にこの言葉は「拍子の取り方を4拍子で取る」という意味です。2拍子を4拍子のように拍子をとるという意味ですが、拍子が2拍子から4拍子に変わった時に念押しでこの言葉を使うことが多いようです。

使用例:

(打合せの時、バン・マスがみんなに)この曲、Bセクションでイン・フォーになるから、しっかり譜面読んでよ!


バウンス(Bounce)

「跳ねるリズムで演奏する」という意味です。

ジャズ、リズム&ブルース等では、このようなリズム・スタイルが使われることが多いです。
この「跳ねるリズム」とは、8分音符(テンポが遅い場合は16分音符)が均等なリズムではなく、表拍の音符の長さが長く、ウラ拍の音符が短いリズムになります。

8分音符で例をとると1拍を3つでとる3連符の最初の2つが表拍、最後の音符がウラ拍というようなリズムに変化します。

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しかし、バウンスは3連符で演奏するという意味ではありません。テンポやスタイルにより、普通の8分音符のリズムに近かったり、あるいは付点8分音符と16分音符のリズム近かったりするリズムです。

近い言葉にシャッフル(Shuffle)という言葉があります。リズム&ブルース等で使われるリズム・スタイルで、バウンスするだけでなく、2拍、4拍にアクセント、ブルース的なフレーズなどのスタイルも含めての言葉です。

ジャズではこのバウンスという言葉は使わず、スイング(Swing)という言葉が多く使われます。バウンスと意味は同じですが、ジャズ特有の跳ね方を指す事が多いようです。

楽譜上に記譜する時は下の図のように音符を使った表記がよく使われます。

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シャッフルなどの曲ではこのような表記を使わず、楽譜にそのまま記譜する例もあります。

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上の楽譜の場合、譜面どおりのリズムではなく、バウンスしたリズムで演奏するという意味を持ちます。


※バウンスに関連する言葉

イーブン(Even)

8分音符を均等に演奏する指示。バウンスの反対語です。

使用例

(先生が生徒に向かって)この曲はボサ・ノヴァの曲、ハネちゃいけないよ!もっと8分音符をイーブンで弾かないと「らしさ」がでないからね。

ハネる

バウンスと同じ言葉、俗語です。

使用例

(ドラマーがリーダーに向かって)この曲ハネるんすか?

スイング/スゥイング(Swing)

バウンスと意味は同じですが、ジャズ特有の跳ね方を指す事が多い.

使用例

(お年を召したバンド・リーダーが若いプレイヤーに向かって)ユーのアドリブなんかスゥイングしないよ。

シャッフル(Shuffle)

リズム&ブルース等で使われるリズム・スタイルで、バウンスするだけでなく、2拍、4拍にアクセント、ブルース的なフレーズなどのスタイルも含めての言葉

使用例

(リーダーがバンドのみんなに)この曲はシャッフルの曲だ。楽しくいこうぜ!


Simile.(シーミレ)

「以下同様に演奏する」という演奏指示の言葉です。

クラシックでも使用されますが、主にジャズやポップスでのパート譜に記される用語として使われる事が多いです。
クラシックで使われる場合、例えばスタッカートやテヌートで何小節も演奏するような時に、この言葉を用いて表記を略する事が多いです。
譜例はムソグルスキームソグルスキーの「展覧会の絵」のビドロという曲の冒頭部分です。左手の最初の2小節は8分音符にテヌート表記がされ、以降同様にテヌートで演奏する指示としてシーミレが使われています。

ムソグルスキームソグルスキーの「展覧会の絵」のビドロでの譜例
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ジャズやポップスではギター、キーボード、ベース等のリズム・セクションの譜面にこの表示はよく使われます。
クラシックより定義があいまいになり、バッキング・パターン、ベース・パターン等をコード進行に合わせて、同じようなリズム・パターンで演奏させるという指示になります。そのため、コードに対する知識やアレンジに対する理解が必要となります。

ベース譜でのシーミレを記譜した例
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実際の演奏としては、第1小節目のフレーズを判断して、このパターンはルート音をこのリズム・パターンで弾くということを理解し、同じリズム・パターンで、コードに合わせて(ルート音を弾く)演奏します。以下がその譜例となります。

実際の演奏例
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ドラム譜では、このSimile.を使わず、繰り返し記号を使用し、記譜される事が多いです。
ただビッグ・バンド・スタイルの編成では、ドラムのパート譜に、このような表記をせず、「同じように何小節演奏させる」という意味でPlay x(ここに演奏したい小節数を記します) Bars 等と英語で表記し、小節数を省略する場合も多く見かけられます。

ビッグ・バンドのドラム・パートの譜例
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※Simile.同様、演奏指示に関連する言葉

繰り返し記号(1小節の、あるいは2小節の)

記された記号の直前の小節を繰り返す指示としての記号です。よくバンド・スコアで4小節や8小節の繰り返し記号も見られますが、演奏上、繰り返す小節が多く、非常に見づらく、演奏しにくい譜面となりますので、自分で書く場合はこのような4小節や8小節の繰り返し記号は使わず書いた方が演奏者にとって親切です。

1小節の繰り返し記号の例
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実際の演奏
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2小節の繰り返し記号の例
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実際の演奏
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